Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

帆を拡げかけた帆船が欄干の下を通って行く小ささを見降し、矢代は廊下の意外な高さに初めて気がつくのだった。

「しかし、悲劇にしても東野さんとは少し――取り合せが意外だったな。何かわけがあるんじゃないかな。」

「でも、帰るとなると、お連れをさがすもんじゃありません。」

「そういうことも考えられるが、あの真紀子さんという人は危いんだ。どうも危い。僕は一度オペラで懲りたことがある。」矢代には、平尾男爵と東野とがともに帰って来ることは想像出来ることだったが、真紀子が久慈と別れてひとり東野と同船だということが、やはり頷きがたいことの一つだった。勿論、久慈と真紀子の間が不和になったとの便りは、直接二人からの手紙によらずとも、千鶴子へ来るもので分っていた。しかし、その結果が東野と真紀子とともに帰る事情になったとは、そこに穏かでない空想が混って感じられた。およそ日本を出発の際持ち運んでいった道具や習慣はみな毀れ、人の性格まで一変させてしまう西洋の旅のことだったが、それにしても、表面放埒に見えつつ東野の底にいつも動かぬ慎しみだけは今も変ることはなかろうと思われても、それとてどのような変化があったか、これだけは人の想像の外だった。