Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
通りや森や河岸の樹のある所には、マロニエが白い花筒の先きを揃えて一斉に開き初めた。重厚な椎の樹に典雅な桐の花をつけたかと見えるこの樹は、昔を今に呼び戻すただ一縷の望みのように美しい。ある夜、矢代と千鶴子と久慈とそれにアンリエットの四人が食事をすませてからドームにいると、東野に逢った。晩餐の後にどこへ行くかという相談はいつも議論を呼んで定まらないのが常だったが、この夜はブロウニュの森の湖水へ行こうという久慈の提案が直ちに通った。一つはもうすぐ、新しく来た日本人の案内役となって地方へ旅に出るというアンリエットとの、皆の別れの意味もあった。
「どうです。これからボアへ行こうというのですが、いらっしゃいませんか。」
久慈は例の人の良さそうな笑顔で傍にいる東野をも誘った。四人はすぐ自動車を森へ向って走らせた。自動車の中で千鶴子は、
「今夜だけはもう議論はなさらないでね。」
と皆に頼んだ。皆は声を合せて笑った。
「フランス人は女の人が一人混っていると、絶対に議論はしないが、あれは女というものは馬鹿な者だと定めているからだそうですよ。僕らはあなたがいても議論をするのは、つまり尊敬しているからさ。