Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ひめくり
日めくり
壺井 栄
Lesen Sie 日めくり (ひめくり) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.884 Zeichen · 34 Bildschirme
一
一
しんどい。
火のない掘ごたつに向いあったまま、老夫婦はだまりこんでいた。思いは一つなのだが、今はそれを口に出して云いあう気力もない。ほかにだれがいるというわけでもないのだから、今こそ、ぶちまけた相談をしてもよい筈なのだし、しなければならない時なのに、言葉が出てこない。今更、あれこれとたしかめあう必要もないといえばないのだが、ぐっと勇気をふるって腰の骨をのばさねばならないような事態に、改めて直面してみると、やっぱりしんどさが先きに立つ。年寄りらしくぜい肉を落しきったような痩せた夫は、白髪の交った眉毛を、くぼんだ眼のまぢかに寄せて、巻煙草をつまんだまま火もつけず考えこんでいる様子だし、人並はずれに太っている妻は、こたつ板に頬杖をついたまま放心したようにまばたきもしない。よっぽどしんどいらしい。
やがて夫がつぶやいた。
「虫が鳴いてる」
妻は暗い部屋に気がついたが、あかりをつけに立つのも大儀だった。近年病気がちの妻は、こんなとき一そうからだが重たくなるのだった。いつもなら身軽な夫が用を足してくれるのだが、その夫も今日は立ち上ろうとしない。そしてまたつぶやく。