Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひめくり

日めくり

壺井 栄

Lesen Sie 日めくり (ひめくり) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.884 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

「うん、あんなことばっかりいってるのよ」

もう馴れ馴れになって、それがただのいやがらせででもあるような調子だ。

「気にしてるのね。かわいそうに」

元子が涙をこぼすと、ひろみもほろりとしながら、

「でも、まともに相手になるわけにいかないでしょ。いいかげんな気休めでも云おうものなら、荒れちゃうし、だから、わざとにやにやしてるの。ガンだと云ってもらいたいのなんて、逆ねじいったりね。とにかく、扱いにくいわ」

小心な、正直者のひろみにもそんなかけひきができるようになったのかと、元子は今更のように目をみはる思いだった。ひたすらに夫により添い、何一つさからうことを知らぬような古風な、今時珍しい女だったのに、二人の子の母親ともなれば、いろいろと変ってくるのだろう。そういえばついこないだ山形は面白い話をした。

――はしごをしましてね、有り金全部のんじゃったんです。あり金といったって二千円ほどですがね。帰りの電車賃もなくなりましてね、タクシーひろったんですよ。ヘベレケなもんだから運ちゃん気を利かして宿屋へつれていきましてね、今夜はそこへ泊れってんですよ。一銭も金がないんだからって、空っぽの財布をみせて、やっとうちまで運んでもらいましたがね、一時をすぎてたでしょう。