Japanische Klassiker mit Furigana
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ひめくり
日めくり
壺井 栄
Lesen Sie 日めくり (ひめくり) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.884 Zeichen · 34 Bildschirme
病室に戻ると、文吉は顔を病人にさしよせて、しきりにうん、うん、とうなずいていた。山形の声は低くて元子にはよく聞きとれなかったが、文吉の方はいろいろと聞かされたらしく、
「そりゃあ君がよくやったからだよ。だから早くよくなって、その仕事やらしてもらうんだな。その中ぼくの詩集も出してもらいたいな」
だいぶ疲れがめだってきた。まだひどくはないがしゃっくりも出だした。しかし彼は軽いいびきを立てはじめた。久しぶりのおしゃべりに、注射なしでも眠りだすほどつかれたのかもしれない。
帰りの道で文吉は、元子と同じ不安を吐き出すように、
「あんなにしゃべって、心配だな」
「そうなのよ」
「急にすし食ったりして、大丈夫かな」
「もう、しようがないわよ。すし食う前におかゆ食えっていっても、聞く男でもないしね」
「まあ、すきにさしとくんだね。さっき、医者が匙なげたとかなんとか云ってたじゃないか。やっぱり感じて、少々やけにもなっとるのかな」
「この調子じゃあ、こっちもいつまでもとぼけてるわけに、いかなくなるわね」
「そんなことで、ひろみにぽんぽん云ってるんだろ。おれたちにあたるわけにもいかずさ」