Japanische Klassiker mit Furigana
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ひめくり
日めくり
壺井 栄
Lesen Sie 日めくり (ひめくり) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.884 Zeichen · 34 Bildschirme
。たまに眠ってでもいればそれが薬のせいにしろ一とき胸をなでおろせるわけだが、そんなことにはめったにめぐりあえなくなっている。せめては附添っている娘の力づけにでもなろうかと思うのに、その娘のひろみも病夫と一しょに、みる度、会う度、頬の肉を削りおとしているのだ。
「しっかりしなさい」
といったところで、不眠不休の彼女にとっては、ビタミン剤の注射をしてもらうぐらいのことしかない。そんなところへ、花をもってゆくのか。病勢が極度に進むと、花などというものは、むしろ邪魔かもしれない。
並川元子はそっと紙包みの蘭をのぞいた。匂いはないが、反り返ったような花弁のピンクの花が豪華にむらがっていて、ほのかに匂うような気がした。美しい。しかしこの花が喜んでもらえないかもしれないのだ。
「山形さんて、あれでとてもよく気のつくとこがあるのね」
丈夫だったころのことを思い出していうと、夫もうなずき、
「そうだよ。仕事も熱心だったしね」
「去年も今年も、二月二十日に花をもってきてくれたの、山形さんだけよ」
「二月二十日? 多喜二の日じゃないか」
「ほら、あんたでさえそれでしょう」
「ああ」
そんなことかという顔だ。