Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にちにちへいあん

日日平安

山本 周五郎

Lesen Sie 日日平安 (にちにちへいあん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.297 Zeichen · 56 Bildschirme

Aozora Bunko

七

十郎太は咳をし、聞えないふりをして、五人の捕虜たちを仔細らしく点検した。陸田夫人はいぶかしげに娘を見た。

「あなたこんな処へお入りになったの」

「ええそうよお母さま」と千鳥は云った、「――ここは昼間でも薄暗いし、誰も来る者がなくって静かでしょ、それで乾し草の上へ横になると、躯がふわっと沈むような、浮いているような気持になって、そして草の甘い匂いに包まれたまま、うっとりと眠くなってしまいますの、ねえじゅろうさま」

「あら、じゅろうさんもごいっしょだったの」

七

「ええもちろんよ、お母さま」千鳥は頷いた、(向うでまた十郎太が咳をしたが)彼女は続けた、「わたくし一人でなんか来られやしませんわ、いつでもつれて来て頂きますの、いちどなんかわたくしじゅろうさまのお腕を枕にして、ほんとに眠ってしまったことがありますわ」

「まああきれた、あなたそうして起こされるまでおよってらしたんでしょ」

「いいえお母さま、まさかいくら千鳥だって」

菅田平野は戸惑いをした。母親も娘ものんびりしたものである。この切迫した状態のなかで、男性と二人きりで乾し草小屋へ隠れたなどと、平気で告白する娘も娘だし、それを聞いてそう驚きもせず、かくべつ叱ろうともしない母も母である。