Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にちにちへいあん

日日平安

山本 周五郎

Lesen Sie 日日平安 (にちにちへいあん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.297 Zeichen · 56 Bildschirme

Aozora Bunko

二

と男は立ちあがりながら云った、「ともかく向うの茶店でなにか喰べるとしましょう、まず食っての相談といいますからね」その男はすっかり陽気になっていた。

二

その男は嘘は云わなかった。その男は「私は不人情な人間ではない」と云ったが、まもなくそれが事実だということを証明した。

二人は茶店で腹をこしらえ、あと戻りして藍川の宿の柊屋という(十郎太が昨夜泊った)宿で草鞋をぬいだ。二人はお互いに姓名を告げあい、風呂のあとで酒を飲んだ。その男の名は菅田平野というのであった。十郎太は二度きき直して、「すがたひらの」と口の中で云ってみたうえ、「名前も苗字みたようですね」と云った。菅田平野は北越の浪人で、十郎太より三つ年長の二十九歳であった。

菅田平野は聞き上手で、しかも、座持ちがうまいといわれる種類の人に属していた。十郎太は勘定が気になるので、はじめのうちは酒の数に注意していたが、話が進むにつれて(その話の性質上)やがて気分が昂揚し、自分から景気よく飲みだした。

「よくわかります、うん、私にはよくわかるな、それは」菅田平野はしんみり合槌を打つのであった、「――しかも陸田さんはなんにもなさらない、超然としてかれらのするままにしているというわけですね」