Japanische Klassiker mit Furigana
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にちにちへいあん
日日平安
山本 周五郎
Lesen Sie 日日平安 (にちにちへいあん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.297 Zeichen · 56 Bildschirme
もう酒もずいぶん飲んで、相当に酔っているはずなのだが、その顔は赤くならず、むしろ平静に冴えてゆくようであった。彼は十郎太の話をよく吟味するかのように、しきりと思い耽りながら鼻毛を抜いた。右手の拇指と食指の尖端で巧みに鼻毛を摘み、くいと引張って抜くのであるが、抜いたとたんに彼は大きなくしゃみをした。
「失礼しました」と菅田平野は云った、「――これがものを考えるときの私の癖でしてね、どうも失礼」それから抜いた鼻毛を眺めながら続けた、「これは私の杞憂かもしれませんが、まあたぶん杞憂だろうと思うんですが、そういうことだとすると貴方がこのまま江戸へ帰られるのは、私としてはどうかと思いますね」
「どうかとはどう思うんです」
「どうといって、その」と菅田平野は口ごもった、「――そんな状態だとすると、陸田さんが苦境に立つことになりはしませんか、貴方が江戸へ帰って殿に直訴して、もしそれが成功するとすれば、城代家老としての陸田さんの責任も追究されるでしょう、それよりも、私はそのまえに奸物どもが策謀して、罪を陸田さんになすりつけるような、……むろんこれは杞憂だと思うが、奸物どもとしてはそのくらいの謀略はやりかねない、私はそのことを心配しますね」