Japanische Klassiker mit Furigana
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けいば
日本の名随筆 別巻80 競馬
吉川 英治
Lesen Sie 日本の名随筆 別巻80 競馬 (けいば) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.091 Zeichen · 8 Bildschirme
だが、私はそれだけを思わない。
あの競馬場の熱鬧は、そのままが、人生の一縮図だと、観るのである。あの渦の中で、自己の理性を失う者は、実際の社会面でも、いつか、その弱点を、出す者にちがいない。
あの馬券売場の前で、家庭を賭けたり、自分の信用や前途までを、アナ場へ、突ッこんでしまうものは、世間においても、いつか同じ心理のことをやってしまう危険性のある者にちがいない。なぜならば、その人間に、あきらかに、そうした素質があることを、あのるつぼの試練が、実証してみせるからだ。ただ、競馬場は、それを一日の短時間に示し、世間における処世では、それが長い間になされるという――時間のちがいだけしかない。
競馬場のるつぼほど、自分の脆弱な意志の面と、いろいろな自己の短所がはっきり、心の表に、あらわれてくるものはない。自分ですら気づかなかった根性が、ありありと露呈してくるものである。それを意識にとらえて、理性と闘わせてみることは、大きな自己反省のくりかえしになる。そして、長い人生のあいだに、いつか禍根となるべき自分の短所を、未然に、矯正することができるとおもう。理性をもって、自由な遊戯心を、撓め正すなんてことは、それ自体、遊びではなくなるという人もあろうが、人生の苦しみをも、楽々遊びうる人ならいいが、そうでない限り、苦しみは遊び