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Japanische Klassiker mit Furigana

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けいば

日本の名随筆 別巻80 競馬

吉川 英治

Lesen Sie 日本の名随筆 別巻80 競馬 (けいば) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.091 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

天皇と競馬

五月五日には天皇賞レースがある。淀競馬場は沸くだろう。日本のクラシック・レースでも最長距離の力戦である。

天皇賞レースには、御紋章づきの楯が授与されるが、陛下が競馬場へおいでになったことはない。

なぜだろうか。側近の思案もあろうし、陛下御自身の好き嫌いもおありだろう。もし、両陛下とも“見ず嫌い”でいらっしゃるなら、ぜひ一度は御覧ねがいたい。また、側近も、考え直して欲しいとおもう。

明治天皇は、よほど競馬がお好きであった。春秋の横浜根岸競馬へは、前後十八回も行幸になった。横浜じゅうは、ロンドン市民がダービーに熱するみたいな他愛なさと国際色に雑鬧する。鹵簿はたしかオープンの三頭立て馬車で、道幅せまい相沢の貧民街も通ってゆく。

その両側に、ぼくら小学生も立ち並んだことがある。みんなで紙旗を打振るのが、鹵簿の車輪やお体にも触れるほどだった。白い手袋とニコニコしたお顔が、小学生や貧民街の人々や競馬ファンにこたえて行かれた。

ああしたオープンな陛下の姿は、以後、絶対に庶民の眼から遠ざかった。思い出すと、その日のみは、陛下も、ファンのおひとりだった。明治天皇が、わけても民情に通じておられたのも、偶然ではない。