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Japanische Klassiker mit Furigana

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かにのかい

日本の怪談(二)

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は庭におりて桶の水で両手を洗い、へぎを出して塩と米を盛った。

「源吉、さあ、これからお諏訪様へ往こう」

「またお諏訪様へ往くの」

「往って、お詫びをせんと罰があたる」

「そう」

為作は前に立って歩いた。源吉は後からちょこちょこと歩いた。外は樺色にくすんでいた。二人は出揃うた穂の真直に立っている麦畑の間を出て草原へ入ったが、草原の立木の下は暗かった。

二人はその暗い下を往った。お諏訪様の祠を抱くようにして立った榎の古木はすぐであった。其処は月の光であろう四辺が明るくなっていた。為作は怖いような尊いような気がして、平生のように平気で往くことができなかった。彼は祠から二間位離れた処へ坐って塩と米を盛ったへぎを前に恭しく置きながら、べったりと両手を突いて頭をさげた。

「今日は、何も知りません孫奴が、畏れ多いことをいたしまして、何ともお詫びの申しあげようがございません、それに悴が亡くなりまして、未だ一年の忌ぶくのかかっておる身でございます、がんぜない小供とは申せ、お詫びの申しようもございませんが、そこが父親なしの哀れな小供でございますから、どうかお赦しくださいますように、この爺から幾重にもお詫びをいたします」