Japanische Klassiker mit Furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
、老媼茶話の中にでもありそうな話であるが、それは後になって人間の巧智の所産であることが判った。それは私が十二三のときのことであったが、村の人家の北側になった山の麓に清導寺と云う寺があって、其処の住職に対する批評を何人がするともなしにしだしたのを聞いた。その寺は肉食妻帯の寺でその住職には妻子があった。
「あんななまぐさ坊主は、法力がないから、あんな山の中にはおることができんそうじゃ」
「清導寺の坊さんは、法力がないと云うじゃないか」
「黒い牛のようなものが、夜よる本堂に出るということじゃ」
「あの山には、天狗がおるから、なまぐさ坊主はおれまい」
清導寺の上になった山の頂上には大きな岩が立っていて叩くとかんかんと鳴ると云うので、村の者はかんかん岩と云っていた。少年仲間の久馬と云うのが、某日そのかんかん岩へ遊びに往って、天狗に投げられたと云って頭の怪我を見せて、「白兎が、早う返れ返れと云うてくれたと云うが、俺には見えざった」と、云ったのを覚えていたので、私はなるほど清導寺の谷は怖い処だと思った。
「あの坊さんは、ほんまに法力がないじゃろうか」
「ちっともないというよ」