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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎじんのすがた

日本の怪談

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本の怪談 (ぎじんのすがた) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.030 Zeichen · 115 Bildschirme

Aozora Bunko

、祭をしてくださいませ、それでないと、私達一家の者が浮ばれません」

女房はわなわなと慄えた。

「その短刀は、御主人が執りださなくとも、祭さえしてくださいますなら、私が執りだします」

女房の眼は暗んで来た。彼女はあっと云って倒れた。女房は寝床の上に仰向けに倒れたのであった。益之助はびっくりして眼を覚して女房を抱き起した。

「どうした、どうした」

女房は身を慄わして逃げようと悶掻(もが)いた。益之助は抱きすくめて離さなかった。

「どうした、どうした、夢を見たのか、夢を見たのか」

女房はやっと気が注(つ)いて恐ろしそうにして益之助の顔を見た。

朝になって起きあがろうとした女房の枕頭に、白木の鞘に入れた短刀があった。奇怪なその短刀は直ぐ小松家の仏壇に置かれた。

その朝藩庁に宿直していた役人の許へ御宝蔵の番人が来た。番人は昨夜御宝蔵へ盗賊が入って小谷の持物であった短刀を盗んで逃げたが、その後姿は小松益之助殿にそっくりであったと云った。それがために益之助が朝飯を喫っていると詮議の者が突然来た。益之助は彼の短刀の我家に来た筋道を明かにすることができなかった。彼は女房を殺した後で己(じぶん)も自殺してしまった。