Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎじんのすがた
日本の怪談
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談 (ぎじんのすがた) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.030 Zeichen · 115 Bildschirme
義人の姿
延宝二年の話である。土佐藩の徒目付横山源兵衛の許へ某日精悍な顔つきをした壮い男が来た。取次の知らせによって横山が出ると、壮い男はこんなことを云った。
「私は浜田六之丞の弟の吉平と申す者でございますが、兄六之丞が重い罪科を犯して、死罪を仰せつけられ、誠に恐れ入った次第でございます、私は浪人をして紀州で弓術を修業しておりましたところで、この比兄が御成敗になったと云うことを聞きましたから帰りました、私はべつに兄の罪科のことは知りませんが、兄弟である以上、その罪科は逃れないことだと思いまして、今日只今帰り着いたところでございます、如何ようともお仕置くださいますように」
浜田六之丞は浦役人といっしょになって公金を私したので、入牢詮議のうえ死刑になった者であった。その六之丞に弟があって紀州に浪人していると云うことは知れていたが、藩の方では兄と交渉がないと云うところからそのまま不問にしてあった。
当時の法として罪を犯す者があれば、本人はもとより兄弟妻子にも及ぶことになっていたので、その兄弟として自首して出た以上、罪科を行わないわけにはゆかなかった。横山は困ったことになったと思った。