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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎじんのすがた

日本の怪談

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本の怪談 (ぎじんのすがた) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.030 Zeichen · 115 Bildschirme

Aozora Bunko

「それはありがたい、では、俺が海込めに遭うて、乗組二十人といっしょに、死んだと云うことを、国許へ報らしてやってくれ、頼みたいことは、このことじゃ」

「よし、この船は大阪へ寄るから、大阪の土佐邸まで知らしてやっても好いが、何も証拠が無いに、雲を掴むような知らせでは、知らして往く方も困るし、むこうも本気にしないだろう、何か証拠になるものは無いか」

「では証拠を書く、紙と硯を貸してくれ」

「よし、紙と硯があるから、書け」

船頭は舵柄に執りついて震えている舵手に云いつけた。舵手の一人は直ぐ傍の箱を手探りに執って、それを船頭の方へ出した。船頭はその箱を引き寄せて紐を解き、その蓋を開けて中から一枚の紙と矢立をだした。

「さあ、ここに矢立と紙がある、これへ書くが好かろう」

怪しい男はその紙と矢立を受けて紙に臨んで筆を走らした。

「では、これを土佐邸へ届けてくれ、何分頼む」

船頭の手に矢立と紙が返って来た。

「たしかに頼まれた、大阪へ着き次第、土佐邸へ届けるから安心せよ」

怪しい男の姿はもう見えなかった。

怪しい男から書類(かきつけ)を托された船は薩摩の船であった。薩摩の船は大阪へ着くとともに土佐邸へその書類を届けに往った。