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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎじんのすがた

日本の怪談

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本の怪談 (ぎじんのすがた) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.030 Zeichen · 115 Bildschirme

Aozora Bunko

「おっと、待ってもらおうか、私は其処の用人だから、毎日詰めていない日はないが、この私が知らない人が、その邸にいる理(わけ)がないよ、きっと邸の名前がちがっているのだろう」

用人はまた嘲笑った。

「ところが違わない」

「違わないことがあるものか、ちがわないと云うなら、お前さんは、邸の名を騙る売僧じゃ」

用人は憤りだした。

「それはお前さんが私(わし)を知らないから、そう云うのだ、私は三代前から彼(あ)の邸にいるよ、彼の邸は何時も病人だらけで、先代二人は夭折(わかじに)している、おまえさんは譜代でないから、昔のことは知らないだろうが、彼の邸では、昔こんなこともあったよ――」

旅僧は用人の聞いている昔主家に起った事件をはじめとして、近比(ごろ)の事件まで手に執るようにくわしく話しだした。用人は驚いて開いた口が塞がらなかった。

「どうだね、お前さん、思いあたることがあるかね」

旅僧はにやりと嘲笑を浮べながら煙草の吹殻を掌にころがして、煙管に新らしい煙草を詰めてそれを吸いつけ、

「寸分もちがっていないだろう、それでもちがうかね」

「よくあってます」

用人は煙草の火の消えたのも忘れていた。