Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎじんのすがた
日本の怪談
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談 (ぎじんのすがた) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.030 Zeichen · 115 Bildschirme
「怪しい小供が二人、萩と芒の中へ入った、引っ捕えて来い」
侍はそのまま立って庭へおりて往った。光長は起きあがっていた。
侍は萩と芒の繁りの中へもう己の体を置いて捜していたが、暫くして帰って来た。
「何者も見当りませんが、如何いたしましょう」
光長はやはり今の少年は人間ではないと思った。
「見えねばそれで好い、捨てておけ」
光長はその翌晩も縁側へ出て一人で酒を飲んでいた。酒を飲みながら時々前夜の怪しい少年のことを考えていた。そして、また酒も厭になったので横に寝そべって庭の方を見ていた。その晩も涼しい風が吹いて虫の声が静に聞えていた。
光長は睡くなったのでうつらうつらしていたが、何か物の気配がしたので眼を開けてみた。庭では痩せた少年と肥った少年が、昨夜と同じように角力を執っていた。
光長はそれを見るなり、そっと体を起して両手を立て、音のしないように座敷の中へ入って往った。
右の方の壁の傍には、張った弓をかけ、下へ立てた胡に十本ばかりの矢が入れてあった。光長はその弓をおろすなり、二本の矢を執って縁側の簾の陰へ往って、一本の矢を口にくわえ、一本の矢を弓に仕かけながら庭の方を覗いた。