Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんのび
日本の美
中井 正一
Lesen Sie 日本の美 (にほんのび) von 中井 正一 (なかいまさかず) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.126 Zeichen · 187 Bildschirme
しかし、多くの歌の中には言、いいのもあれば、悪いのもあります。また幼いと思えるのもあれば、言葉の足りないのもあります。しかし、その歌の美しさは、文字の技巧ではなくして、その歌から立ちのぼる、焔のもつ清らかさが、人々の魂をうつのであります。
稲つけば かがる吾が手を 今宵もか とのの若く子が とりて嘆かむ
おのがじし 人死にすらし 妹に恋ひ 日にけに痩せぬ 人に知らえず
今は吾は 死なむよわが背恋すれば 一夜一日も 安けくもなし
かかる歌は、ひたすらにその情熱の輝きをうたいつくしているのでありますが、かかる純情が、その切実なこころの集中を、自然に目をむける時、やがてそこには、澄み透った自然が裸のままの姿を現わすのであります。
足曳の山のしづくに妹まつと われ立ちぬれぬ 山のしづくに
一つ松いく世か経ぬる吹く風の 声の清きは年深みかも
あかときと夜鴉なけどこの山下の 木末の上はいまだ静けし
かかる歌を味わってみますと、澄み透ったすがすがしいこころを通してのみ、見ることのできる自然が、そこに描かれているのであります。
こころが集中して、こころのかざりがなくなり、ただすなおな虚ろな静けさをもって、自然に相対する時、そこにあらわれる深い沈潜が、何か人生の寂しいまでの奥底を見せてくれるかのように思われるのであります。