Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.829 Zeichen · 25 Bildschirme
「わたくしはそう思わなかったものだから……」と郁之助は眼をつむりながら、遠くの人にでも云うようにそっと呟いた、「おゆるし下さいあね上、今日までずいぶん意地の悪いことばかりしていました、これからは改めます、そして……」
「強くなりましょう郁之助さま」伊緒はうなずきながら云った、「わたくしにお詫びをなさるようなことはございません、それよりも強くなることを考えましょう、あなたも、わたくしも、……そして和地の家をりっぱにまもりとおしてゆきましょう」
「でもあね上……」郁之助は、ふっとあによめをふり仰いだ、「あんなことになって和地の家名が続くでしょうか、このままおいとまになるのではないでしょうか」
「旦那さまは討死をなすったのですよ」伊緒はうち消すように云った、「わたくしはそう信じています、めざましくお戦いになって、誰にも劣らぬりっぱな討死をなすったに違いございません、それだけのお覚悟があったのをわたくしだけは知っているのですもの」
出陣のまえに納屋で話し合った時の良人の気持を、云えるものなら云って聞かせたい、けれど良人と妻だけの機微な心のかよいはわかって貰えないであろう、かの女はそう考えたのでしずかに座を立った。