Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.829 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

六

そういう話もあったが、伊緒はまったく無関心のようすだった、あるときまた玄蕃がおとずれて来て、姑としばらく話し合ったのちかの女が呼ばれた。はなしは姑がした、そして玄蕃が親族の意見をそばからつけ加えた、伊緒は黙って聞いていたが、ふたりの話が終るとしずかに玄蕃にむかって問いかえした。

「おはなしはよくわかりました、それで伝四郎のことはどうなるのでございますか」

「伝四郎どののこととは……」

「天草陣にてゆくえ知れず、生死のほどもわからぬということではございませんか、良人の生死がわからぬのに、妻が後夫をとるという話がございましょうか」玄蕃ははたと言葉につまった、伊緒はこみあげてくる感情を抑えながら、「そのことがはっきり致しましてからなれば、どのようなおはなしもまた承わりましょう、それまではご無用にお願い申します」

そういって座をしりぞいてしまった。

六

その年の秋から冬へかけては、まるで試練のような有様だった。二百十日まえに暴風雨があって、稲が吹き倒されると、そこへ追っかけて洪水がきた、もともと大垣の付近は水害にみまわれることが多く、城そのものも輪中(河川の氾濫を防ぐために周囲へ郭をつくったもの)にあるほどで、いちど洪水となると被害はさんたんたるものになる。