Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.743 Zeichen · 22 Bildschirme
その多くは格之助が応対することで足りた、藤右衛門でなければならぬ客もくどくど悔みをのべるようなことはなかった。今日あることはみんな予期していたし、誰にもいまさらといなぐさめの言葉などはなかった。午すこしまわってから本家にあたる佐野伊右衛門が来た。伊右衛門は二千六百石の老職で、藤右衛門より二歳の年かさである。書斎へはいって来た彼は、机の上を見やりながらさすがにあきれたという顔で云った。
「このさなかに仕事か」
「なにやかや、とりこみつづきでだいぶおくれているものですから」
「いくらおくれているからと申して、今日一日をあらそうことではあるまい、それは仏にたいしても薄情というものだ」
「それでも、べつにさし当ってする仕事はなし、ぼんやりしておるのもこれでなかなかしょざいのないものです」
藤右衛門はそう云ってにが笑いをした。
「なるほど」
伊右衛門はふうと鼻をならした。
「なるほど、しょざいがないというのが本当かも知れぬ、いまさら死別がつらくて泣ける年でもなし、このように人手があまっていては用事もなしとすると、いかにもこれはしょざいがないというかたちか」
「おいそぎでなかったら一盞ととのえましょうか、わたくしはお相手がなりませんけれども、そのうちにはくらんどがみえましょう」