Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.841 Zeichen · 25 Bildschirme
……或る日の午後いつものように稽古に出ようとしていると、なほ女が来て、
「お稽古がよいはまだながくつづくのですか」
と訊ねた。その声は耳だつほど顫えていたし。その眼はびっくりするほどけわしく光っていた、
「はい、暫くかよいたいと思います」
そう答えながら由紀は顔を赤くした。
「もう押し詰まってきたし休之助もあのとおり寝たり起きたりしておいでなのだから、あなたにはお稽古もだいじではあろうけれどね……」
そこまで云いかけてぷつっと言葉を切った、そして返辞も待たずに去っていった。由紀はようやく理解することができた、姑のようすがなぜそんなに苛いらと尖ってきたか、なにがふきげんの原因だったかということを、それは云いようもなくなさけない悲しい感じだった、由紀は逃げるように家を出た。
あんな風になすっていいものだろうか、由紀は昂ぶってくる気持を抑えようもなく、この日ごろの姑の態度を一つ一つ思いかえした。自分は幾らかでも家計の補いにしようとして、町家の娘などに出稽古をしているのだ、八百石の大寄合の家にうまれ、ふた親や兄の温かい愛につつまれて、憂いこと辛いことを知らずに育ってきた身には、そのことだけでも決してたやすい業ではない。