Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.841 Zeichen · 25 Bildschirme
六
しかも良人や姑に気づかれたくないために、どれほど気を遣いからだにも無理をしているか知れないのだ。もちろん隠しているのだから姑にわからないのは当然であろう、けれども親となり子となったら、そぶりでもおよそは察して呉れてもよいのではないか、少なくともあのようにつけつけと仰しゃることはないだろうに、……由紀は胸が燃えるようだった。いつかあきんどに売った衣装や道具の数かず、ひとめを忍んで実家の母に金を貰いにいったことなどが思いだされ、そんなことも結局はわかって頂けないのだ、みんな徒労だったという気がして云いようもなく悲しくなり、いっそこのままどこかへいってしまいたいというつきつめた感情に唆られながら、まったく見当の違った道をなかば夢中で歩きつづけるのだった。
六
山という山は遠いのも近いのも雪に埋もれた。その山なみの上には悔恨のように暗い鼠色の雲が掩いかぶさり、絶えず凜烈な風と粉雪とを吹きつけてきた。夜なかにふと覚めると、厨のあたりで物の冰る音がし、ぴしぴしと柱のしみ割れるのが聞えたりする、そんなとき由紀は衾の衿をかけよせながら、すでに年の押し詰まっていること、この暮をぶじに越せるかどうかということを考えては、追われるような苦しさに溜息をつくことがしばしばだった。