Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.885 Zeichen · 27 Bildschirme
致しました、そしてこれは嘘ではないと思いましたの、こういう娘さんなら大三郎が云い交わしてもふしぎはない、いいえ、よくそうしてお呉れだったとさえ思いましたの」
「お待ち下さいまし」あきつは堪りかねてそう云った、「……それはお考え違いでございます、それではなおさら大三郎さまに申しわけのないことになりますわ、わたくしすっかり申上げなければ」
「これ以上なにを伺えばよろしいの、わたしはうれしいのですよ、今日ほどうれしく楽しいことはありませんでした、あきつさん、ほんとうにわたしはうれしいのですよ」
吉村の母はそう云いながら、手をあげてそっと眼がしらを抑えた。……あきつは慄然と息をのんだ。より女のよろこびは余りに大きい、そのよろこびがどんなものであるか、おんな同志のあきつには手に取るほどもよくわかる。云えない、これほどのよろこびをうち毀すことはできない、少なくとも自分にはできない、そう思うのだった。ひと言の嘘がここまであきつをひきずってきた、坂道を転げる石のように、それはもうどうしようもないちからでかの女をひきずってゆく、あきつはめまいのするような気持で、惘然となりゆきを見まもるほかはなかった。