Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.885 Zeichen · 27 Bildschirme
「それは御本陣のことでしょう」さきの女は平然とやり返した、「……御本陣はそのとおりですよ、それはわたしも知っていますさ、けれどもお旗下の大将がたの陣にはお使番なんかありません。そんな役があるものですか、大将がみんなでそんなことをしたら、戦場がお使番だらけでごちゃごちゃになってしまうじゃありませんか、そんなことは決してありませんよ」
遠江のくに浜松城の外曲輪に、お繩小屋といって軍用の繩や蓆を作る仕事場がある、板敷のうちひろげた建物で、今しも老若四五十人の女たちが藁屑にまみれて仕事をしていた。かの女たちは「お手の者」といわれて、徳川家康に直属する軍兵の家族だった、おなじ足軽でも諸将に属する者と「御手の者」では格が違い、かれらは曲輪うちの長屋に住んで、武具の手入をしたり軍用の雑具を作ったり、また戦時には後送される傷兵の世話をするとか、糧秣の補給を助けるなど、いろいろの役割の中心になって働くのである。……そのとき徳川家康は織田信長の軍と合体して、三河のくに長篠城を攻めていた、つまり浜松は留守城である。父を、良人を、子を、兄弟を、かの女たちはみなそれぞれ戦場に送っている、仕事をしながらの話も、しぜん合戦のことか、戦場に在る良人や兄弟の自慢などが多い、そして身分の軽いだけ云うことに遠慮がなく、自慢するにも威張るにも