Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.885 Zeichen · 27 Bildschirme
あの方の本当のお姿があるのだ、あきつは感動しながらそう思った。
「そのお心にあやかりたいと存じますけれど」とあきつは面をあげて云った、「でもやはり、いけませんでしょうか」
「そうですね、あなたなら別だから」より女はふと眼で笑った、「……そう、あなたは別なのだから、思い切ってやってごらんなさるか」
「わたくし一所けんめいに致しますわ、ものを作るなどと思わずに」
そして自分の心を土にうつしてみたい、もしそれがあの方のお心に協うようだったら、幾分でもお詫びのたしになるかも知れないから、……こうしてあきつは二段の畑へ鍬を入れたのである。虚心でなければいけない、うまく作ろうとか、お気に入ろうなどと考えてはいけない、心をこめて、自分の心の正真をうちこんでやらなければ。……三度の食事拵えも、濯ぎ物も縫い針も、決して吉村の母の手は藉りなかったし、「いいから」と云われるのを押して、毎夜より女の肩腰を揉んだ。そのほか定り日にはお繩小屋へも仕事に出る、そういう忙しい刻のひまひまに畑に立つのだが、黝ぐろと鋤き返した土を見ると身がひき緊った。――大三郎さまの心の籠っている土だ。