Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうしゅじん

旧主人・芽生

島崎 藤村

Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

その頃は娘達の髪はまだ赤かったが、でも異母妹(いもうと)から見ると、麦藁(むぎわら)帽子を脱いだお新の方は余程黒かったことを思出した。

彼はまた、帰校する娘達を送りながら、一緒に上京した時のことを思出した。二日ばかりお新は彼の旅舎に居たことを思出した。

最早(もう)昔話だ。それからもお新は異母妹と一緒に、度々(たびたび)旅舎へ遊びに来たが、彼の方では遠くでばかり眺めていた。彼が二度目に南清行を思い立った頃は、娘達も学校を卒業して、見違えるほど大きく、姉さんらしく成った。殊(こと)にお新の優美な服装は、見送りの為に停車場(ステーション)へ集った都会風な、多くの学友の中でも、際立(きわだ)って人の目を引いた。山本さんも見送りに行って、汽車の窓の外で別れた。

これが愛されたのだろうか。過(すぐ)る年月の間、山本さんが思を寄せた婦人も多かった。不思議にも、そういう可懐(なつか)しい、いとしいと思った人達の面影は、時が経つにつれて煙のように消えて行った。ガヤガヤガヤガヤ夕方まで騒いでいた鳥が、皆な何処へか飛んで行って了うと同じで、後に成って見ると一羽も彼の胸には留っていなかった。