Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme
こんな風にして国府津へ近づいた。船旅を終る頃には、お新は熱海や伊東の話を持って、東京に居るお牧の方へ早く帰りたいという様子をした。
汽船は国府津へ着いた。乗客は争って艀に乗移った。山本さんも、お新も、陸を指(さ)して急いだ。
新橋行の二等室の内に腰掛けてからも、二人はあまり話す気が無かった。二語(ふたこと)三語(みこと)言っては復た黙って了った。窓から外を見ようとすらもしなかった。揺(ゆす)られ通し船に揺られて、復た汽車に揺られたので、山本さんは居眠りばかりして行った。どうかすると窓の玻璃(ガラス)へ頭を打ちつけた。それほど、身体を支(ささ)えることが出来なかった。新橋へ入ったのは未だ日の暮れない頃であった。何となく頭の上から押しつけられるような、ハッキリと物を考えられない心地(こころもち)で、山本さんは礼を言って車に乗って行くお新に別れた。
この四日の旅で、山本さんはつくづくそう思って来た。玉子色のリボンで髪を束ねていたような娘が、何時の間にか開き発達した胸を持って、その豊かな乳の張ったさまは着物の上からでも想像される程の人に成った。それに比べると、彼は無限に停滞している自身の生活を憐(あわれ)まずにいられなかった。