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Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうしゅじん

旧主人・芽生

島崎 藤村

Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

非常に大きな石が畠の間に埋まっていた。その辺で、彼は野良仕事をしている町の青年の一人に逢った。

最早青年とも言えなかった。若い細君を迎えて竈を持った人だ。しばらく高瀬は畠側の石に腰掛けて、その知人の畠を打つのを見ていた。

その人は身を斜めにし、うんと腰に力を入れて、土の塊を掘起しながら話した。風が来て青麦を渡るのと、谷川の音と、その間には蛙の鳴声も混って、どうかすると二人の話はとぎれとぎれに通ずる。

「桜井先生や、広岡先生には、せめて御住宅ぐらいを造って上げたいのが、私共の希望なんですけれど……町のために御苦労願って……」

とその人は畠に居て言った。

別れを告げて、高瀬が戻りかける頃には、壮んな蛙の声が起った。大きな深い千曲川の谷間はその鳴声で満ち溢れて来た。飛騨境の方にある日本アルプスの連山にはまだ遠く白雪を望んだが、高瀬は一つ場処に長く立ってその眺望を楽もうともしなかった。不思議な寂寞は蛙の鳴く谷底の方から匍い上って来た。恐しく成って、逃げるように高瀬は妻子の方へ引返して行った。

「父さん」

と呼ぶ子供を見つけて、高瀬は自分の家の前の垣根のあたりで鞠子と一緒に成った。