Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうしゅじん

旧主人・芽生

島崎 藤村

Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

涼しい風の来そうなところを択んで、腰を掛けて、相川は洋服の落袋から巻煙草を取り出す。原は黒絽の羽織のまま腕まくりして、子で手の汗を拭いた。

黄に盛り上げた「アイスクリイム」、夏の果物、菓子等がそこへ持運ばれた。相川は巻煙草を燻しながら、

「時に、原君、今度はどうかいう計画があって引越して来るかね」

「計画とは?」と原は子で長い口髭を拭いた。

「だって君、そうじゃないか、やがてお互いに四十という声を聞くじゃないか」

「だから僕も田舎を辞めて来たような訳さ。それに、まあ差当りこれという職業も無いが、その内にはどうかなるだろうと思って――」

「いや」相川は原の言葉を遮って、「その何さ――これからの方針さ。もう君、一生の事業に取掛っても可かろう」

「それには僕はこういうことを考えてる」と原は濃い眉を動して、「一つ図書館をやって見たいと思ってる」

「むむ、図書館も面白かろう」と相川は力を入れた。

「既に金沢の方で、学校の図書室を預って、多少その方の経験もあるが、何となく僕の趣味に適するんだね――あの議院に附属した大な図書館でもあると、一つ行って見たいと思うんだが――」

原は口髭を捻りながら笑った。