Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

きゅうしゅじん

旧主人・芽生

島崎 藤村

Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

それを思うと仕事も碌々手に着かないで、ある時は二人の在処を突留めようと思ったり、ある時は自分の年甲斐も無いことを笑ったり、ある時は美しく節操の無い女の心を卑しんだりして、それ見たかと言わないばかりの親戚友人の嘲の中に坐って、淋しい日を送ったことが多かった。彼女が後へ残して行った長い長い悲哀は、唯さえ白く成って来た大塚さんの髪を余計に白くした。

おせんがある医者のところへ嫁いたという噂は、何か重荷でも卸したように、大塚さんの心を離れさせた。曽て彼の妻であった人も、今は最早全く他人のものだ。それを彼は実際に見て来たのだ。

万事大塚さんには惜しく成って来た。女というものの考え方からして変って来るように成った。男性の心情なぞはそう理解されなくとも可い、仕事の手伝いなぞはどうでも可い、と成って来た。働き者だとか、気性勝りだとか言われて、男と戦おうとばかりするような毅然した女よりも、反って涙脆い、柔軟な感じのする人の方が好ましい。快活であれば猶好い。移り気も一概には退けられない。不義する位のものは、何処かに人の心を引く可懐みもある。ああいうおせんのような女をよく面倒見て、気長に注意を怠らないようにしてやれば、年をとるに随って、存外好い主婦と成ったかも知れない。