Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうしゅじん

旧主人・芽生

島崎 藤村

Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

それから次第に馬匹の改良が始まる、野辺山が原の馬市は一年増に盛大になる、その噂さがなにがしの宮殿下の御耳にまで届くようになりました。殿下は陸軍騎兵附の大佐で、かくれもない馬好でいらせられるのですから、御寵愛(ちょうあい)の「ファラリイス」という亜刺比亜(アラビア)産を種馬として南佐久へ御貸付になりますと、さあ、人気が立ったの立たないのじゃ有ません。「ファラリイス」の血を分けた当歳が三十四頭という呼声になりました。殿下の御喜悦(よろこび)は何程(どんな)でございましたろう――とうとう野辺山が原へ行啓を仰出(おおせいだ)されましたのです。

壱

「爺(おやじ)、己(おれ)もお前(めえ)も此頃(こないだ)馬を買った覚がある。どうだい、この馬は何程(どのくれえ)の評価(ねぶみ)をする――え、背骨の具合は浅間号に彷彿(そっくり)だ。今日この原へ集った中で、この程(くれえ)良い馬は少なかろう」

と一人の馬喰(ばくろう)が手を隠して袖(そで)口を差出す。連の男は笑いながらその内(なか)へ手を入れて、

「こうだ」

「ふふ、そうさ」

と傍に手綱を控えて立っている若者に会釈して、