Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme
しかし、お前(めえ)には少許(ちっと)も肖(に)ていねえだに」
「私(わし)にかえ。彼奴は私に肖ねえで、亡くなった祖父(じじい)に肖(に)たと見える。私は彼奴を見ると、祖父を思出さずにはおられやせん」
と楽しそうに話しておりますと「ファラリイス」の駒も大概(あらかた)御覧済になりましたので、御仮屋の北側に記念の小松を植えさせられました。人々は倦(う)んで了(しま)って、特別席にかしこまる官吏の影も見えません。宮は御休息もなく四列の厩を一々案内させて、二時問余も大佐、馬博士を御相手に、二百頭の馬匹の性質、血統、遺伝などを聞召(きこしめ)され、すこしも御疲労の体(てい)に見えさせ給わないのです。花やかに熱い秋の日が照りつけるので、色白な文官の群は幕の蔭に隠れ、互に膝頭(ひざがしら)を揉(も)みました。
功名を急ぐ源にとりましては、この二時間の長さが堪えられない程の苦痛でした。いよいよ競馬の催が始まるということになりましたので、四千の群集は塵(ほこり)を揚げて、馬場の埒際(らちぎわ)へ吾先にと馳(か)けて参ります。源は黄色い土烟を嗅(か)いで噎返(むせかえ)りました。