Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme
烈しい秋の光は源の頬を掠(かす)めて馬の鼻面(はなづら)に触(あた)りましたから、馬の鼻面は燃えるように見えました。
五人の乗手の中で、源が心に懼(おそ)れたのは樺(かば)を冠った男です。白、紫、赤などは、さして恐るべき敵とも見えませんのでした。源は青です。樺は一見神経質らしい、それでいやに沈着(おちつ)きすました若い男で、馬も敏捷(びんしょう)な相好(そうごう)の、足腰の締(しま)った、雑種らしい灰色なんです。樺が場を踏んだ証拠は、馬の扱いが柔かで、ゆったりとしていて、加(おまけ)に捜りを入れるような目付をして、他の四人の呼吸を図っているのでも分る。それにこの男の静な、冷い態度(ようす)と言ったら――それは底の知れないような用心深いところがあって、一歩(ひとあし)でも馬に無駄を踏ませまいと、たくらんでいるらしい。源は大違です。あまり心が激(あせ)り過ぎて、乗出さぬ先から手綱を持(もつ)手が震えました。
相図を聞くが早いか、五人の乗手はもう出発の線を離れる。真先に乗進んだのが源の青、次が紫、白、赤でした、樺は乗後(おく)れて見えました。「青、青」