Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme
拝むような娘の群の視線はこの若者の横顔に注(あつま)りました。全く、源は業(ごう)が沸(に)えて、この男の通るのを見ていられません。嫉妬は一種の苦痛です。源は自分の馬の側に仆(たお)れて、恥かいた額を草の中に埋(うず)めました。
疲労と失望とで悶え苦んでいた源が、むっくと起上った頃は――もう人々も帰って了った。居残る人足は腰を曲(こご)めて御仮屋を取片付ける最中。幕は畳み、旗は下して、遽(にわか)に四辺(そこいら)が寂しくなった。細々と白い煙の上る松蔭には、店を仕舞って帰って行く商人の群も見える。馬は主人を置去にして、そこここと手綱を引摺(ひきず)りながら、「かしばみ」の葉でも猟(あさ)っているらしい。今は、なにもかも源を見下げたり、笑ったりしてる――小鳥ですら人を軽蔑したような声で鳴いて通る、と源には思われるのでした。忌々しいものです。源は腹愈(はらいせ)のつもりで、路傍(みちばた)の石を足蹴(あしげ)にしてやった。尊大な源の生命(いのち)は名誉です。その名誉が身を離れたとすれば、残る源は――何でしょう。自分で自分を思いやると、急に胸が込上げて来て、涙は醜い顔を流れるのでした。