Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme
「いいかね。房(ふう)ちゃんが一号で、菊(きい)ちゃんが二号で、繁ちゃんが三号だぜ」
「父さん、房ちゃんが一号?」と姉の方が聞いた。
「ああ、お前が一号で、菊ちゃんが二号だ。父さんが呼んだら、返事をするんだよ――そら、やるぜ」
二人の娘は嬉しそうに顔を見合せた。
「一号」
「ハイ」と妹の方が敏捷(すばしこ)く答えた。
「菊ちゃんが一号じゃないよ、房ちゃんが一号だよ」と姉は妹をつかまえて言った。
大騒ぎに成った。二人の娘は部屋中を躍(おど)って歩いた。
「へい、三号を見て下さい」
と山浦というところから奉公に来ている下女も、そこへお繁を抱いて来て見せた。厚着をさせてある頃で、この末の児はまだ匍(は)いもしなかったが、チョチチョチ位は出来た。どうやら首のすわりもシッカリして来た。家(うち)の内(なか)での愛嬌(あいきょう)者に成っている。
「よし。よし。さあもう、それでいいから、皆な行ってお休み」
こう私が言ったので、お房もお菊も母の方へ行った。家内は一人ずつ寝巻に着更(か)えさせた。下女はまた、人形でも抱くようにして、柔軟(やわらか)なお繁の頬(ほお)へ自分の紅い頬を押宛てていた。