Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme
そのうちに、暮れかかって来た。あまり子供等の帰りが遅いと思って、私は門の外へ出て見た。丁度二人の娘は母の手を引きながら、鬼王(きおう)神社の方から帰って来るところであった。
「父さん」とお房が呼んだ。お菊も一緒に成って呼んだ。
「遅かったネ」と私は言って見た。
「今しがたまで、繁ちゃんのお墓でさんざん泣いて来たんですよ」こう家内はそこへ立留って言った。「帰りに八百屋へ寄って、買物をしていましたら、急にそこいらが見えなく成って来て……房ちゃんや菊ちゃんを連れていなかろうものなら、真実(ほんと)に私はどうしようかと……」
「最早(もう)見えないのかい」
「街燈(ガス)の火ばかし見えるんですよ……あとは真暗なんです」
「さあ、房ちゃんも、菊ちゃんも、お家へお入り」
暮色が這うようにやって来た。私達は子供を連れて急いで門の内へ入った。
こういう私の家の光景(ありさま)は酷く植木屋の人達を驚かした。この家族を始め、旧くから大久保に住む農夫の間には、富士講の信者というものが多かった。翌日のこと、切下髪(きりさげがみ)にした女が突然私の家へやって来た。この女は、講中の先達(せんだつ)とかで、植木屋の老爺(じい)さんの弟の連合(つれあい)にあたる人だが、こう私の家に不幸の起るのは――第一引越して来た方角が悪かったこと、それから私の