Japanische Klassiker mit Furigana
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ほしじょろう
星女郎
泉 鏡花
Lesen Sie 星女郎 (ほしじょろう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.344 Zeichen · 104 Bildschirme
正体が知れてからも、出遊の地に二心を持って、山霊を蔑にした罪を、慇懃にこの神聖なる古戦場に対って、人知れず慚謝したのであるる。
立向う山の茂から、額を出して、ト差覗く状なる雲の峰の、いかにその裾の広く且つ大なるべきかを想うにつけて、全体を鵜呑にしている谷の深さ、山の高さが推量られる。
辿るほどに、洋傘さした蟻のよう――蝉の声が四辺に途絶えて、何の鳥かカラカラと啼くのを聞くと、ちょっとその嘴にも、人間は胴中を横啣えにされそうであった。
谷が分れて、森が涼しい。
右手の谷の片隅に、前に見た牛の小家が、小さくなって、樹立ありとも言わず、真白に日が当る。
やがて、二分が処上った。
坂路に……草刈か、鎌は持たず。自然薯穿か、鍬も提げず。地柄縞柄は分らぬが、いずれも手織らしい単放を裙短に、草履穿で、日に背いたのは緩かに腰に手を組み、日に向ったのは額に手笠で、対向って二人――年紀も同じ程な六十左右の婆々が、暢気らしく、我が背戸に出たような顔色して立っていた。
山逕の磽、以前こそあれ、人通りのない坂は寸裂、裂目に草生い、割目に薄の丈伸びたれば、蛇の衣を避けて行く足許は狭まって、その二人の傍を通る……肩は、一人と擦れ擦れになったのである。