Japanische Klassiker mit Furigana
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Lesen Sie 春いくたび (はるいくたび) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.094 Zeichen · 142 Bildschirme
六
これが土生一族のかんがえである。
世が騒がしくなってきた、そして官軍というものがこの梟谷へも侵入してくるという、――世間からはなれてくらす梟谷の人々には、官軍がどうして庄内の殿様を攻めようとするのか知っていない。知ってはいないが、彼らにとってはすてておけない大事である。
庄内の殿様を攻める奴!
土生一族の土地をおかす奴!
それだけで一族の人々は起った。
一人も生かして通すな!
そしてこれだけのはかりごとをたてたのだ。そしてお糸はりっぱにそのやくめをはたしたのだ。
「もう大丈夫」
お糸はほほえみながら砦へもどった。
六
役目をはたした心のゆだんであろう。
藪をすべりおりて、元の場所からすばやく防壁をのりこえ、すっと砦のなかへ飛下りたお糸は、いきなり右手と首をつかんでひきすえられた。
「――小娘! みつけたぞ」
石岡吉次郎だった。
「あっ」
「うごくな、拙者のにらんだ通り、お前はやっぱり土生一族の密偵だったな、――来い!」
のがれようと、しきりにもがく少女の体を、石岡はずるずる引きずるようにして屯所の小屋へ入った。――そして、あきれている半九郎のまえにどうんとつき倒した。