Japanische Klassiker mit Furigana
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Lesen Sie 春いくたび (はるいくたび) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.094 Zeichen · 142 Bildschirme
「よしこい、正邪を定めるは剣一本、後悔するな」
叫ぶとともに、
「えいッ、や※(感嘆符二つ、1-8-75)」
猛然と踏込んだ。相手はしばらく支えていたが、そのうちにぱっと四方へ逃去ってしまう、三樹八郎は脱兎のように、娘の悲鳴の聞えたほうへ走って行ったが、そこにはすでに人の影もない。
「ちェッ、しまった」
気もそぞろに、境内を走廻ったけれど、早くも曲者たちは娘を掠って逃げたらしい、どこに一人の姿もみつからなかった。
「おのれ! お嬢様をどこへやった」
下僕の老人が狂気のように詰寄ってくる、三樹八郎はその手を掴んで引寄せ、
「ええ鎮まれ、そのほうが勘違いをしたばかりに、頼まれてきたのが空になった、今こそいうが、そのほうの主人は斬られたのだぞ」
「え※(感嘆符疑問符、1-8-78) わ、若旦那様が……」
「命には別状ないが、いま拙者の家で手当をしているところだ、真疑のほどはきて見れば分る」
「それでもお嬢様の身上が」
「いや、掠って行くからはすぐに斬ることもあるまい、仔細を聞いたうえで拙者がどうにもいたそう、とにかく参れ」
三樹八郎は下僕を促して帰った。
浪宅では、医者の手当を受けてすっかり元気を取戻した若侍が、加代の拵えた温粥を啜っているところだった。