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Japanische Klassiker mit Furigana

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はるいくたび

春いくたび

山本 周五郎

Lesen Sie 春いくたび (はるいくたび) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.094 Zeichen · 142 Bildschirme

Aozora Bunko

だんまり伝九

一

一

「どうだい、赤松さまは、いつ見ても恐ろしいなあ、あのかっこうを見てくれ」

「じつにどうも人間とは思えねえ」

「や、や、今日はじまんの樫棒だぜ」

ここは土佐の国浦戸の城中。大館の広庭では、領主長曾我部元親をはじめ家臣のならぶ前で、いましも二人の武士が試合を始めようとしているところであった。そのようすを外庭の生け垣のかげから、十四、五人の足軽たちがのぞき見しながら、口々に品さだめをしている。

「なにしろ五十人力の鬼剛兵衛さまだからな。勝たせてあげてえが、どうも別部さんには勝ち目がねえぜ」

「まったくだ、あの樫棒でやられちゃたまらねえ、本気でやられたら殺されてしまう」

「まあ腕の一本でもぶち折られるがおちだろ」

「だまれ、こやつら!」

足軽たちの中で一人の老人がわめいた。

「だれだいどなるのは」

一人がふりかえって、「おや、弥平じいそこへきていたのか」

「何をぬかす、だまってきいていればなんだ、おらが旦那の別部さまに勝ち目がねえの、ぶち殺されるの腕を折られるのと、とんでもねえことをいうやつらだ。勝つか負けるか見てからものをいえ。北畠浪人で別部伝九郎さまといえば、中国すじから関東まで知られた勇士だ、いまに鬼剛兵衛なんぞは地面へはわせてやるから見ていろ」