Japanische Klassiker mit Furigana
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Lesen Sie 春いくたび (はるいくたび) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.094 Zeichen · 142 Bildschirme
「いま千浪を泣かしたのは誰です」
若菜はしずかになじった。
「おれたちだ」
十五、六になる少年が答えた。
「おれたちみんなだ、悪いかい」
「男のくせに小さい子をみんなでいじめるなんて卑怯だとは思いませんか」
「へ! 卑怯とはそっちのことだろう」
「なぜわたくしが卑怯です」
「卑怯者の妹なら卑怯にきまっていらあ。裏切者の伝四郎の妹なら、やっぱりおまえたちも裏切者じゃないか、ほんとうなら菊池の家のものはみんなこの大村からほうり出されるんだぞ」
「おだまりなさい!」
若菜は身をふるわせながらさけんだ。
「ほかのこととは違います。武士に向かって裏切者などといえば、どんなことになるか知っていますか」
「知っているさ、へん」
少年はあざ笑っていった。
「おまえの兄の伝四郎はな、敵軍の方へねがえりをうって味方の陣地のことをしゃべってしまったんだ、そのために味方は釜伏山の陣地を敵軍にとられてしまったんだぞ」
「うそです、そんなことはうそです」
「うそだと思うなら、侍大将の玄蕃様の家へ行ってきいてみろ、伝四郎はいま敵軍のなかで働いているんだ、裏切者なんだ!」
「…………」
若菜の顔はすっかりあおくなった。