Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

はるいくたび

春いくたび

山本 周五郎

Lesen Sie 春いくたび (はるいくたび) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.094 Zeichen · 142 Bildschirme

Aozora Bunko

「――それで」

と母親はうたがわしげに娘を見やった。

「おまえそれで、どうお思いなの?」

「どうってお母さま」

「世間のうわさや玄蕃様のお宅できいてきたことをほんとうだとお思いですか、伝四郎が裏切者だということを信じるのですか」

「――お母さまはお信じになりませんの?」

「若菜、ちょっとこちらへおいで」

そういってたちあがると、母親は娘を仏間へつれてはいった、そしてしずかにすわりながら、

「御先祖のお位牌のまえで、あらためておまえにききますが、――もしおまえが戦争に出て、味方が負けそうになったときはどうしますか、自分の命がおしさに敵軍へ降参しますか」

「いいえ、味方といっしょにりっぱに討死をいたします」

「ではもしきずをおって敵軍にとらえられたとしたらどうします」

「捕虜になるくらいなら、舌をかんででも自殺します」

母親はうなずいていった。

「女のおまえでもそれだけの覚悟はありましょう。若菜伝四郎は菊池家の主人です、おまえは女だけれど伝四郎は武士ですよ、おまえのからだにながれている血と、同じ血をもっているのですよ」

「…………」

「女のおまえでさえそれだけの覚悟をもっているのに、男の伝四郎が裏切などをすると思いますか」