Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Lesen Sie 春いくたび (はるいくたび) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.094 Zeichen · 142 Bildschirme
峠の手毬唄
一の一
一の一
やぐら峠は七曲り
谷間七つは底知れず
峰の茶屋まで霧がまく……。
うっとりするような美しい声がどこからかきこえてくる。
夜はとうにあけているが、両方から切立った峰のせまっているこの山峡は、まだかすかに朝の光が動きはじめたばかりで、底知れぬ谷間から湧きあがる乳色の濃い霧は、断崖の肌を濡らし、たかい檜の葉や落葉松の小枝に珠をつらね、渦巻き、ただよいつつ峠路の上まではいのぼっては流れて行く……。ここは出羽の国最上の郡から、牡鹿の郡へぬける裏山道のうち、もっとも嶮しいといわれるやぐら峠である。酢川岳の山々が北に走っていくつかにわかれ、その谿谷が深く切込んだところに雄物川の上流が白い飛沫をあげている。峠道はその谿流にそって、断崖の上を曲り曲り南北に走っているのだ。
お馬が七疋駕籠七丁
あれは姫さまお国入り
七峰のこらず晴れました……。
霧の中を唄声が近づいて来たと思うと、やがて院内のほうから、旅人を乗せた馬の口を取って、十四、五になる馬子が登って来た、――五郎吉馬子と呼ばれて、この裏山道では名物のようにいわれている少年である。
「これこれ、馬子さん」
馬上の旅人は唄のくぎりをまって、