Japanische Klassiker mit Furigana
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Lesen Sie 春いくたび (はるいくたび) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.094 Zeichen · 142 Bildschirme
「いや、いやいや、知らんよ」兵馬は大声に遮った。
「今朝江戸へ入ったばかりで、そんな話はいま聞くのが初めてだ、しかし日頃の先生にも、似合わぬ焼死をなさるとは不覚だな、――そして、内門人たちは誰も先生に気づかなかったのか」
「それがね、その日にかぎって運の悪いことに松林さんが皆をつれて正月の祝いに奥の植半で夜通しの酒宴というわけです。たった一人残っている孫七爺さんが、お嬢さんの手をひいて煙の中をうろうろしているところへ、ようやくあっしたちが間に合ったので」
「で……後はどうなった」
「へえ、なんでも松林さんを御贔屓になさる伊丹なんとかいうお大名が、緑町の空き屋敷を買ってくれたのへ手入れをして、そっくり道場を移してお嬢さまも引き取り、なかなかお盛んにやっていますが、――なんでも近いうちにその伊丹てえお大名の肝煎で、お嬢さまと婚礼をしたうえ、正式に大先生の跡目相続をなさるてえ話ですぜ」
「うまいことやったな、ははははは」
兵馬は手酌で、前にあった湯呑へ酒を注ぐと、ぐいぐいつづけさまに呷りつけたが、
「ちょいと出てくる」といって立ち上った。
「出てくるったって、急にそんな」