Japanische Klassiker mit Furigana
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Lesen Sie 春いくたび (はるいくたび) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.094 Zeichen · 142 Bildschirme
という刹那、さっと色を変えた甲子雄、
「――しまった」呻くなり、
「くそっ!」
死物狂いに打ちこもうとするのを、
「どっこい慌てるな、そう打ちこむと胴へ行くぞ、――お嬢さま聞いていますか、甲子雄の脇差についている鍔は、あの晩安吉がお父上に預けていった品です。こやつめ……植半の離室に酔いつぶれていると見せ、そっと脱出して道場へ戻ったのです、――あなたが御覧になったという、先生の死体の刀疵は、この甲子雄の仕業ですぞ」
「うぬ、うぬ――えいっ」狂気のように打ちこむ甲子雄、
「来い、そらっ」
踏違えた兵馬は、だっとのめる相手の、肩へ一刀、ぴしーり、
「あっ」
がらり木剣を取り落すところを、
「えいっ、や!」
脾腹と真向へ、凄じい打を入れる。甲子雄はがっと異様に叫びながら、口から黒血を吐きつつどっとのめり倒れた。
「お嬢さま」兵馬は一歩さがっていった。
「先生の仇、ひと太刀お恨みなされい」
戸外には初午の太鼓が聞える。その夜、佐兵衛の二階で、祝いの酒宴を前に、兵馬は機嫌よく話していた。
「今だから話すが、三年前に旅へ出たのは、拙者とお嬢さんの間を妬んで、甲子雄のやつが門中に騒ぎを起そうとするようすが見えた、そこで先生と相談した結果、ひとまず甲子雄の気を抜くつもりで旅へ出たのだ。