Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅんもう

春盲

豊島 与志雄

Lesen Sie 春盲 (しゅんもう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.296 Zeichen · 17 Bildschirme

Aozora Bunko

もう仄白く夜が明けかかる頃、太鼓の音が響いてきた。近くの神社からであろうか、個人の邸宅からであろうか、どこからか、太鼓の音が枕に通ってくるのである。初めはゆるやかに、ドーン、ドーンと、それから次第に急に、ドン、ドン、ドン、ドン……いつまでも単調に続く。

最初聞いた時、山田は自分の空耳かと疑った。然し度重なるにつれて、確かに太鼓の音だということが分り、その確かさのため却って気に留めず、また眠りにはいった。それでも時折、眼を覚して聞いた。毎日のことではなく、日を置いて聞くと、太鼓の音は如何にも気紛れなものに思えた。最も確実な夜行列車の音も、時折に聞けば、気紛れなものに思えるのだ。いったい誰が、何のために、夜明け頃、太鼓など叩いているのか。気紛れなばかりでなく、その音は人をばかにしたものだった。ドン、ドン、ドン、ドン……いつまで単調に続くのか。山田はもう眠れなくなることがあった。それでもなかなか寝床から起き上りはしなかった。

美津子は小首を傾げて考えた。

「そんな、馬の足音だの、太鼓の音だの、わたしは聞いたことがありませんわ。」

「それはあなたが寝坊だからでしょう。