Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅんせつ

春雪

久生 十蘭

Lesen Sie 春雪 (しゅんせつ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.672 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

わけで、意気込みときたら、すばらしいもんだった……戦争をしている国の国民の一人として、心の貞潔はなくしてしまったが、死んでもリミットだけは守る。手紙もいらない、話もしたくない。見るだけでいいのだから、なんとかしてくれというんだな……ご承知のように、東京俘虜収容所には、分所といって、日立と長野と新潟に支店のようなものがある。うちの工場へ派遣所長になってきていた、依田という軍属に調べてもらったら、ロバート君は日立の分所へやられたことがわかったから、おしえてあげた」

「そんな役までしたのか」

「なんと言われようと、ロバート君の居どころを教えたのはおれなんだ。柚子さんは、毎日、汽車で平潟から日立へ通っていたらしいが、ロバート君は、そこからまた新潟の分所へやられ、そこで病気になって、東京へ帰ってきた」

終戦の前の年の十月、二人の娘を疎開させなければならないと思いつつ、手がまわりかねていると、柚子は自分で奔走して、友達の郷里の、茨城県の平潟という町へ疎開させることにきめた。転校の手続きまでテキパキとやってのけ、娘達の着換えや学用品をつめたリュックを背負うと、じゃ、まいりますから、ごきげんよろしう、と二人の従妹の手をひいて、サッサと上野から発って行った。