Japanische Klassiker mit Furigana
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じかん
時間
横光 利一
Lesen Sie 時間 (じかん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.473 Zeichen · 32 Bildschirme
初めは先頭に立ったものがあれは岩だろうか小屋だろうかといっているうちにそれは廃屋同様の水車小屋だと分ったので、先ず皆は雨から暫くのがれるためにでもそこで少し休んでいこうではないかということになったのだが、中へ這入るともうそこには長い間人が近づいたことがないと見えていっぱいに張り廻された蜘蛛の巣が皆の顔にひっかかった。それでも雨露を凌げるほどの庭が二畳敷ほど黴臭い匂いを放っているのでそこへ十二人の者が塊まって蹲っていると、八木がここは水車小屋だからどこかに水があるにちがいない、水でも捜して飲もうといい出して小屋の周囲をうろうろ廻り出した。しかし、だいいち水を落すべき樋がぼろぼろに朽ちていて水車(みずぐるま)の羽根の白い黴のところから菌(きのこ)が生え上っているのだから一向に水なんかありそうにも思えない。そのうちに小屋の中で塊っている者達の肌から汗がだんだん冷えて来ると着物の湿りが応えて来て皆がぶるぶる慄え出した。殊に三時過ぎの急激な秋の夜の冷えが疲労と空腹との上に加わって来たのだからもう皆は一人ずつ放れていては寒さのために立ってもいてもいられない。